カテゴリ:豆本百科( 5 )

胡蝶豆本『紙の宝石』

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『紙の宝石』ジャケット
カットは小林ドンゲ・作の坂本一敏蔵書票の意匠から

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『紙の宝石』表紙 
紺地の布に文字を白箔押し
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〈左下〉『紙の宝石』口絵 
清宮彬・作の蔵書票(カラーコピー)を貼込み



 私が本格豆本の世界に入ったのは、胡蝶豆本の会員になってからである。
 発行元は「胡蝶の会」で、会報「胡蝶」(月刊)に掲載される、本に関するエッセイを胡蝶豆本として刊行していた。主宰者の石橋一哉さんは製本好きのおじさまで、豆本の製本は石橋さん本人が手ずから行っていた。

 画像は坂本一敏『紙の宝石』(昭和56年4月発行、胡蝶豆本16、限定150部)である。
 口絵として、蔵書票4点が貼り込まれている。清宮彬、前川千帆、小島徳(実際の字は、「直」の下部に「心」)次郎、馬渕晃の坂本蔵書票である。私の手元にあるのは、もちろん貼込み書票はカラーコピーだが、発行当時まだカラーコピーは普及しておらず、コピーではありながら高価な図版であった。

 本に貼り込む小版画、蔵書票は、小さいながらも美しいその作品の様から、「紙の宝石」と呼ばれている。
 坂本さんは、日本書票協会(蔵書票の愛好団体)の会長も務めたほどの蔵書票愛好家であった。この本には、蔵書票とは何か、そして海外と日本の蔵書票の歴史について、丁寧にしたためてある。
 小版画である蔵書票が「紙の宝石」なら、この豆本は「書物の宝石」といったところだろう。
 
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by azusa12111 | 2008-03-04 21:42 | 豆本百科

九州豆本に貼り込まれた、前川千帆の蔵書票

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 九州豆本には、様々な版画家の蔵書票が貼り込まれています。
 これは豆本の所蔵者が貼り込んだものではなく、版画作品として九州豆本の版元が貼り込んだもので、つまり、役割としては口絵のようなものです。
 蔵書票は、豆本用のものというよりも、文庫本や四六判にちょうど良さそうなサイズですので、普通の蔵書票でしょう。

 前川千帆の、味のある木版多色蔵書票を4点ご紹介します。
 右下のは坂本一敏さんの蔵書票。
 坂本さんは愛書家として知られ、また蔵書票の世界でも第一人者であり、日本書票協会の会長を務めたこともあります。
 坂本さんは、蔵書票を単にコレクションするだけでなく、蔵書にちゃんと貼る人でした。ですから、古書を買うと、時々、坂本さんの蔵書票が貼り込まれた本であることがあります。それで、「ああ、これは前に坂本さんが持っていた本だったんだな」とわかるわけです。
 坂本さんは、私に蔵書票をたくさんくれて、私を蔵書票の世界に引っ張り込んだ人でもあります。

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by azusa12111 | 2008-02-29 03:29 | 豆本百科

九州豆本

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 今でこそ、豆本シリーズはほとんどなくなってしまいましたが、昭和時代には、いくつかの豆本版元から定期的に豆本が刊行されていました。
 私が買っていたのは日本古書通信社から発行されていた「こつうまめほん」と、胡蝶の会で発行していた「胡蝶豆本」です。

 豆本は、新作が出たからといって新刊書店の店頭に並ぶわけではありません。原則として、事前に版元に直接「会員になりたい」と申し込んでおき、そうすることで新刊が出るたびに送られてくるので、「シリーズの本は無条件で全部買う」というのが通例でした。
 豆本は、大量生産ではあっても、手作業の部分も多く、数十からせいぜい200部程度までの発行部数の出版物です。したがって、いずれも「限定版」でした。会員には、毎回同じ、決まった限定番号の本が送られてくるわけです。

 これらのシリーズは、原則として判型が決まっていて、内容に合わせて外装に趣向が凝らされるという方式でした(詳しくは、いずれ話題にします)。
 サイズはシリーズによって色々ですが、形の奇抜さ(豆粒のように小さいとか、三角形だとか)を追求しただけではなく、中身もある程度読ませるような文章が収められているものは、本の天地寸法が9〜10cm程度はあるものが多かったと思います。

 画像は、つい先日、青猫書房の古書目録で購入した「九州豆本」のうちの一部です。いずれも昭和30年代に発行されたものです。本の大きさは10×80cmで、色糸で中綴じされています。
 本文部分は活版印刷ではなく、謄写版印刷(「ガリ版」と言った方が、なじみ深い向きもあることでしょう)です。こんなところも「昭和」ですね。
 

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by azusa12111 | 2008-02-27 01:20 | 豆本百科

最古の「豆本」


 豆本の歴史を記した大著『Miniature Books: 4,000 Years of Tiny Treasures(豆本—小さな宝石の4000年)』によると、最古の豆本は古代メソポタミアの粘土板だとか。
 粘土板を「本」としていいのかどうか、ちょっと抵抗がありますけれども……。

 いずれにしても初期の豆本は、愛玩物というよりも、実用性から生まれたものであるに違いありません。
 それは何かというと、聖書や祈祷書などの内容で、旅行などに持ち歩く便を考えて作られたものです。

 この本にも図版が載っているのですが、日本の最古の豆本は、あの百万塔陀羅尼です。形状には何種類かありますが、天地幅(本の高さ)は平均5.5cmなので、まさに「豆本」と言えます。
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*百万塔陀羅尼のレプリカ(田中栞所蔵)

 川瀬一馬『日本書誌学用語事典』(雄松堂書店、昭和57年)には、日本最古の豆本として江戸時代の本が載っているのですが、確かに百万塔陀羅尼のほうが古いに決まっています。百万塔陀羅尼は冊子本(さっしぼん)ではありませんが、巻子本(かんすぼん。巻物のこと)だって立派な書物です。
 百万塔陀羅尼は、持ち歩くために小さく作ったわけではありません。小さな塔の中に納めるために、この大きさになったのです。
 それにしても、仏教ではありますがこちらも宗教書であるわけで、発端がこうした内容であるということは、決して偶然ではないでしょう。



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by azusa12111 | 2008-02-26 01:18 | 豆本百科

「豆本」とは?


 豆本とは、小さな本のことを指します。
 英語で「miniature book」「midget book」などといい、日本では「豆本」「袖珍本(しゅうちんぼん)」「寸珍本」などの呼び名があり、江戸時代には「雛本」「芥子本」などとも呼ばれました。

 では、どの程度小さいものを指すのか? というわけで、私の手元にある、本に関する辞典類を調べてみると、川瀬一馬『日本書誌学用語事典』(雄松堂書店、昭和57年)、『日本古典籍書誌学辞典』(岩波書店、平成11年)、『図書館用語辞典』(角川書店、昭和57年)などの解説は、具体的な大きさがどうなのかについては、どうも要領を得ません。

 最もきちんと記述されていたのは、『世界大百科事典』(平凡社、昭和63年)の「まめほん」の項です。執筆担当者は弥吉光長。
 この記事によると、「西洋では天地が10cm以下のものをいう」(1927年、ヘンダーソンによる首唱)としながらも、「2インチ(5.08cm)以内」という主張もあったそうです。
 日本では、小池藤五郎が江戸時代の豆本を分類するのに「小本の半截(半分の大きさ、13cm×9.5cm)以下」、7段階に分けたとか。

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 昨年刊行された、Anne C. BromerとJulian I. Edisonによる大著『Miniature Books: 4,000 Years of Tiny Treasures(豆本—小さな宝石の4000年)』を見ると、本の天地寸法が「3インチ(76.2mm)または76mmまで」となっています。

 現代人におなじみの文庫本はA6判(=葉書サイズ)で148×105mm、その半分のサイズはA7判で105×74mm。「豆本」と言うには、まだちょっと大きい感がありますね。
 やはり本の天地が10cmよりは小さくあってほしいものですが、本のサイズが小さくなればなるほど、中に記すことのできる情報量は制限されてきます。このあたりが、豆本制作者たちが頭を悩ませるところですね。

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by azusa12111 | 2008-02-22 00:21 | 豆本百科